【創作彼女の恋愛公式】紹介・感想



目次

作品概要

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作品名
創作彼女の恋愛公式(公式サイト)
ブランド
AinoLinks
シナリオ
工藤啓
原画
有葉
音楽

樋口秀樹

柳英一郎
西坂恭平

OP

www.youtube.com

体験版

ainolinks.com

 

あらすじ

主人公含め登場人物の多くが学生で業界でバリバリ活躍する天才クリエイター集団。

ゲームのライターや声優、イラストレーター、小説家等々でプロ活動している学生クリエイターが集まるクリエイター学園での学園もの。

主人公については色々あって絶賛スランプ中でクリエイター活動ができていない

幼馴染との再会から始まる学園生活3年間で主人公やヒロインらクリエイターが互いに影響されながら成長していくお話。

 

以下公式サイトあらすじより

 

今年から従姉妹の家に移り住むことになった主人公・鏡寿季かがみとしき
寿季は上京するにあたり、ある想いを胸に秘めていた。

それは、失ってしまったクリエイターとしての力を取り戻すこと――

かつて、寿季は幼馴染の少女がいた。
その名は、彩瀬逢桜あやせあいさ。

幼い頃から傍にいて、創作に関しては良きライバル関係だった。
しかし、年齢を重ねるうちに自分と逢桜は何かが違うんだと思うようになっていく。
その後、逢桜は家の事情で東京に引っ越してしまう。

離れ離れになった寿季と逢桜は手紙で近況を話しながら、
互いの書いた小説を送りあっていた。
しかし、進学を境にぱったりと逢桜からの連絡が途絶えてしまう。

 

それでも寿季は創作活動を続け、同人ゲームを製作し、
さらにはライトノベルで商業デビューを果たしていく。

順調にクリエイターとして成長していった寿季だが、
半年前のとある出来事を境にスランプになってしまう。
同年代のクリエイター達と同じ時間を過ごせば、
刺激になってスランプを脱出できるかもしれないと考える。
そこで都内にある様々な分野のクリエイター達が集まる私立才華学園さいかがくえんへの入学を決意する。

――そして、春。
無事に才華学園に合格した寿季は上京し、東京で偶然にも逢桜と再会する。

 

ヒロイン

彩瀬逢桜

主人公の幼馴染枠。
小説家をしているが、明るく誰とでも仲良く接する性格の子。
野球を嗜むシーンも。

 

 

月見坂桐葉

人気声優。

学園では人気者の天使のような存在。
ただ裏の顔は・・・
エロゲあるあるの性格の子です。プレイしましょう。

ゆめみ

戸籍情報を無視して主人公のことを「お兄ちゃん」と呼ぶ。
これがCVくすはらゆいの力。

発言の内容が強く、大喜利スクショヒロイン圧倒的第一位。面白可愛い子。

エレナ

エロいお姉さん。

評価

内容 評価
総合評価*1     S 
シナリオ ★★★★★
キャラクター ★★★★★
グラフィック ★★★★★
BGM ★★★★☆
主題歌(OP・挿入歌・ED) ★★★★★
Hシーン ★★☆☆☆
システム ★☆☆☆☆

 

【業界ランキング上位】

各業者のランキングで上位を残す神作品。
2021年新作では文句なしの総合1位作品のクオリティ。

■Getchu.com美少女ゲーム大賞2021

・総合部門 1位
・シナリオ部門 2位
・グラフィック部門 4位
・ミュージック部門 2位
・ムービー部門 1位
・キャラクター部門 1位&3位

www.getchu.com

■萌えゲーアワード 2021年度

・大賞受賞
・ニューブランド賞
・シナリオ賞
・名セリフ賞
・ベストキャラクター賞

その他複数部門でノミネート

moe-gameaward.com

 

【シナリオ】

作品全体として読みやすいという印象です。

登場人物のクリエイター活動の中で小説家など、興味持てなくて眠くなりそうな予感がありそうですが問題ありません。
ゲーム・アニメ・漫画等、クリエイター活動という大きな枠組みの中からプレイヤーにも興味関心を抱きやすい要素を用いた話が組み込むといった工夫がされています。
キャラの良さ・主人公以外フルボイスということもあって非常にサクサク進めることができる作品になっています。

話の展開も続きが気になるような内容になっているのもサクサクプレイできる要因。

また、クリエイターとしての心情が丁寧に描かれており、作品を通してクリエイターとしての心情の変化や成長を楽しむことができます。

 

【キャラクター】

プレイすれば良さがわかります。
サブキャラもいい性格してるキャラが多いのもプラスポイントです。
※「なんでこの子攻略できないの~」とはなりますがw

 

【グラフィック・BGM】

CG綺麗&ヒロインが可愛い。
BGMも鑑賞できるレベルで良い。
令和のクリエイターの技術力おそるべし。

 

【ボリューム】
ボリュームやや大。
共通ルートが長め。ただ章ごとに分割されているのでだれにくくはなっている。
作品自体が面白いので土日などにまとめて一気にプレイするのがオススメ。
やればやるほど続きが気になってくるので。

 

【システム】

令和のゴミシステム。

見た目は見やすくて、ユーザ目線では使いやすいようにカスタマイズされているのは非常に良いです。デザイン性は令和ゲームの中でもトップクラスかと思います。

ただバグがひどい。令和のシステムとは思えないくらいバグ頻発。

バックログ機能に関してはエラー頻発するので使い物になりません。
バックログで戻ったシーンでボイス流れないし、BGMばぐったり。
プレイ中にエラーログでるゲームはウグイスカグラ某作品とこの作品の2作品しか知らないです。

バックログ時に発生するエラーログ

 

他にも謎の女性(?)ボイス混じっていたり、ゲーム画面にバックログ表示されたり、プレイ中画面右下のボタン操作不能になったりとバグらしき現象が多い。
ゆめみ口2重化現象もちょくちょく発生して結構イラっとした。

 

バグは酷いものの、それ以上に作品の内容の完成度の良さが上回った故のS評価です。

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【注意】以下本編のネタバレが含まれます。未プレイの方はブラウザバック推奨

 



 



 

 

 

 

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攻略順

逢桜√は最後固定。その他は自由選択。

エレナ → 桐葉 → 逢桜の順が良いかと。
ゆめみ√は逢桜√までの任意のタイミングで良いと思います。

 

感想

1章

主人公と逢桜の過去からの脱却という展開は好きですが、やや急展開で深堀が甘いと感じました。主人公と逢桜の過去は回想である程度理解はできますが、それに対する現在の2人の心情描写が少ない印象。また、章ラストシーンに至るまでちょっと他者に相談しただけというのは雑でもったいなく感じました。

主人公のスランプに関しても、書けないことに対する苦悩があまり伝わらなかったです。また、逢桜との関係改善で少しスランプ改善されたのがよく理解できなかったです。

2章

桐葉の人間らしい負の感情や性格に対して好感を持てました。
人前では表の顔を演じ続ける一方で、そういった振る舞いをする自分自身に嫌悪感を抱いているというキャラ設定が個人的に好きです。本作を通してどう心情変化や成長するかが楽しみで桐葉関連のシナリオに期待がプレイ中高まっていました。

主人公の告白のシーンも非常によくできた展開だったと思っています。
主人公は1章からさらに前に進もうとして更なる挫折を経験する。
一方で桐葉は声優という夢と自身への嫌悪感から主人公への距離をとる決断をする。
今後2人の関係やどう成長していくのかが気になる素晴らしい展開でした。

細かいことですが、バッティングセンターシーンのSDで、主人公が桐葉にバットの持つ長さをアドバイスする前後でSDも桐葉のバットの持つ長さの差分があったのがすこれました。

 


CV遠野そよぎ200%ロリシーンありがとう

3章

くすはらゆい×秋野花は最強。

結菜も桐葉と同様にクリエイターとしての嫉妬という人間らしい一面が丁寧に表現されている点。人間関係には嫉妬と愛が複雑に絡むことによるもどかしさの中に面白さや美しさといった良いものもあるということをゆめみが知り、前に進む(学園に通い始める)。やや後半急展開ではありましたが、流れとしては比較的丁寧だったかなと思っています。

また、この内容が2章にて主人公が桐葉に対して意識できなかった過ちとして結び付けられていたのも良かったです。

ゆめみ関連シナリオはここがピーク。早かった。

4章

エレナ関連の話ですが、エレナよりも主人公に関する話が多い章。
圧倒的な能力の差という現実に挫折しまっていた主人公。そういった自分自身の弱さに向き合い前を進むことで、リスタート。

エレナについては、主人公と接していく中で新しい感情の芽生えが描かれてました。

主人公・エレナ共に、今後どのような物語が展開されるのかが気になるような章でした。

 

5章

個人的に一番微妙なルート。

ゆめみが現実逃避以外で絵を描く理由が、主人公に「俺のために描いてくれ」的な会話1シーンだけなのが正直雑。

メイン作画担当決めのシーンで結菜の悔しいという気持ちの描写は非常によかった。
この章は実質結菜ルート。

6章

桐葉ルート②

親子の感情のぶつかり合いと創作活動の負の要素についてが主題。

親子の感情については、一見桐葉を応援していないような言動をする桐葉母が実は一番桐葉のことを応援し心配もしていたというのが良きに感じました。

また創作活動において自身に向き合う辛さがある一方で、創作物が生み出されるという主人公の説得は個人的には好きです。4章での主人公のスランプ克服した経験を踏まえいるからですね。こういった章同士の繋がりが丁寧なのを感じられるシーンの1つでした。

 

強可愛い

7章

4章でのエレナの変化の反動スランプのお話。

正直このルートについては特段感想はないです。

これが共通ルートのシーンとは普通思われないですよね

8章

1章以降で逢桜が主人公の幼馴染・ライバルという設定が薄く(4章のラストくらい?)、初見ではあんま別れのシーンで感情移入できなかった。
ただ、後述する逢桜ルートクリア後にもう一度別れのシーンをプレイすると違った印象でプレイすることができて良かったです。

エレナルート

「普通(凡人)に憧れる天才少女と天才を追い求める凡人少年」

エレナルートはこの一言に尽きる内容でした。

主人公とエレナという凡人と天才視点からの心情が丁寧に描かれいた印象です。
特に主人公は自身が凡人であることを、エレナは自身が天才であることを疎み苦しむ対比が読んでて面白かったです。また、その心情や関係を踏まえてルートの結末が構成されていており、完成度の高いお話だったと感じています。

ゆめみルート

イラストレーターとして絵を描く目的に関するお話で5章の延長戦的な印象でした。
現実逃避以外で絵を描き始めたことをきっかけに絵を描くことの面白さを知るといった展開ではダメだったのかなと思ったり。
このシナリオ内容であれば、キャラが可愛いので純度100%のイチャラブルートでも良かった気がしています。

ゆめみと同じ天才気質のエレナルートの完成度に押しつぶされてしまった印象です。

キャラはめっちゃ可愛い。くすはらゆい補正強し。

桐葉ルート

本作一番面白かった&ヒロインに好感が持てたルート。

作中全体で桐葉の人間らしい性格が非常に良い味を出していたと思います。

声優としての高みを目指すという夢のために自分自身を仮面を演じる。そして仮面を被る自分自身への嫌悪感を抱くといった思考が凄く共感できました。
2次元のキャラクターの中で人間らしさを強く感じさせるのは珍しい気がします。

 

告白シーンは個人的にはかなり好きなシーンです。
桐葉の声優としての夢と主人公への想いとの葛藤に圧倒されました。
声優への夢への合理的な道を蹴り、自身の想いを素直に受け入れる流れを表現するの凄いです。

また、この告白を後押しした逢桜の行動も地味に好きです。
逢桜との別れに対して桐葉が桐葉自身の素直な気持ちを告白したことに応えて、逢桜からも桐葉に主人公への想いに素直になるように応援するといった展開良きです。

 

人気声優あるある炎上シーン。
炎上にあたっても、声優としての最善の対処法ではなく、主人公を大切にしたいという気持ちを軸に行動する点で桐葉の変化(成長)を感じられました。

若干話逸れますが、初Hシーンでラブホ行ってるので、そこでSNS炎上するのかなとプレイ中は思っていました。ニアピン。

 

失声症という疑似スランプからの克服について、結構急展開で克服されたなといった印象もないことはないですが、それ以上に展開の良さの印象が勝っていたと思っています。

主人公の桐葉への向き合い方も好感が持てる言動が多く、特に桐葉に自身の作品を通して救うといった展開が非常に好きでした。
このシーンで桐葉は3度主人公に救われたという点で展開の美しさを感じました。

作品全体を通して、桐葉の心情変化や成長が丁寧に描かれており、ルートとしても非常に完成度の高い内容になっており満足度高めです。
また、キャラランキングで上位になるのも納得です。

 

芽衣の描写についてが少々わからなかったです。

「演じるキャラクターに対して、「自分にふさわしいと言わせてみせる」といった気持ちより「自分には合っていない」といった気持ちが勝る点で、声優としての道を諦めて正解だった」といった感じで芽衣は気持ちを再整理したといった理解でよいのでしょうかね。

ぱっとみでこのシーンに触れた感想記事見つからないので、いつか他の方の見解をみてみたいです。

 

逢桜ルート

ヴィトゲンシュタイン の「幸福に生きよ!」を想起させるルートでした。

難病を抱える逢桜。手術等の治療をすれば余命を大幅に伸ばすことができる選択肢がある一方で、彼女が選んだ選択は作品を創作すること。

自分自身が同じ立場になった場合には、治療を受けて余命を伸ばすことでより多くの数の作品を創作できる道を進むべきと考える人が一般論であり、そうするべきであると考える人が多いのかなと思います。
しかし、彼女が選んだ生き方というのは、目の前の作品を創作するという幸福を満たすことです。これが彼女の「幸福の人生」です。そして、その生き方に対して私達が「不幸だな」「納得・理解できない」といった感情は意味を持ちません。私達がどう思うと彼女が真に幸福と感じる創作活動が彼女の「意味のある人生(公式)」なのです。

クリエイターという芸術家としての幸福の在り方や生き方がクライマックスを盛り上げる形で構成されている点で非常に完成度の高いシナリオになっていたと感じております。
OP曲名も凝っているのも良いですね。

-奇跡なんか、いらない。-


また、こういったいわゆるビターエンドに近い内容としては、心もやもやしないスッキリとした内容になっている点が他ビターエンド作品にはない魅力のようにも感じました。

ルートの主題は非常に良いのですが、難病を抱えているヒロインを外に連れ出したり、Hしまくるのは倫理的に問題ありすぎなので控えていただきたかったです。

 

姫子について

各ルートにおいて主人公・ヒロインの物語とは別に、姫子というクリエイターとしてのあり方というのも読んでて面白かったです。

エレナルート・ゆめみルートでは、全てを捨てるという代償を払うことで納得のいく作品を創造するというクリエイターとしての思考が表現される描写がありました。
エレナルートでは、エレナに対抗するために主人公に無茶をさせる。
ゆめみルートでは、スランプのゆめみに再度現実逃避させるためにゆめみを追い込むよう主人公に意見を言うといった描写から、姫子の求めるクリエイター像が表現されていたかと思います。

ストイックなクリエイターのあり方を理想する一方で、姫子自身が理想とするクリエイター像になりきれなかったという一面がエレナルート・桐葉ルート・逢桜ルートで描かれいました。
本当のクリエイターであるならば、桐葉ルートにおいて芽衣を声優としての復活としてオファーをしたり、「クリエイターが活躍する機会が運に左右される」といった発言はしないかと思います。そもそも学園の教師と兼用していることからも、姫子は自身の理想像のクリエイターにはなれなかったと考えます。



姫子がクリエイターになりきれなかった要因としては、創作の代償に「命」を選ぶことができなかったことが要因の1つと推測されます。
これは逢桜ルートのおける、姫子の逢桜の病態に対する言動から想像することができるかと思います。

各ルートを通して姫子というクリエイターとしての在り方を描いている点が個人的には隠れ好きポイントでした。
そのため、逢桜ルートで姫子のシーンが思ったより少なくてがっかりしたりもしています。

FDヒロインのアフターストーリーじゃなくて姫子らについて深堀話の方がいいなと思ったりしています。

全体的に

作品紹介でも話しとおり、ユーザに興味・共感できる話題設定やシナリオの展開の面白さからサクサク楽しくプレイできました。

章ごとの心情・成長の繋がりが丁寧。章が進むごとに主人公・ヒロインの心情変化や成長を楽しめました。こういった作品内での繋がりがあることで、終盤での感動や余韻に繋がったのかなと思っています。時間軸が長めに設定されていることから、「主人公・ヒロインの学園生活という物語伝」といった印象を覚えました。

一方で章単体については一部短絡的な展開が少々気になりました。ちょっとした会話で問題解決といった感じですね。終盤に関しては前章以前の繋がりといったところから補填はできますが、序盤はカバーできないのであっさりといった印象も感じました。

あと毎章ごとにEDはさすがにやりすぎかと。

凡人気質の人物のルートが見てみたかったです。主人公・メインヒロイン4人が全員天才気質よりだったので、凡人視点からのクリエイターとしての向き合う姿とかも気になりました。(桐葉ルートの芽衣の話的なね)

 

まとめ

ビターエンドの作品で大衆受けする形に仕上げているのが凄いなというのが一番の感想です。
FD含め今後このチームから創作される作品が非常に楽しみです。

 

 

*1:評価はS、A+、A、A-、B+、B、B-、C~で評価しています。